最近はクオリティオブライフ、ということが言われてきていて、必ずしも延命治療をするわけではなく、患者さんやご家族の希望に合わせて、緩和療法のみ、という方針をとることがある。
病気で入院してきたからには治療したいのが医療スタッフな訳で、積極的な治療を中止するのは無力感に苛まれる。負けたような気がする。
あなたたちに任せます、といわれた患者さんと家族も、それはそれで難しい。
仲の良いほど、家族は延命治療をしてもらいたいし、患者さんは本当は苦しいのでもう痛みを取るだけでいい、勘弁して欲しいとさえと思っているのに、家族のために、と苦しい抗がん剤や放射線治療をがんばったりする。
家族同士のお互いの思いやりと、医療スタッフの治療したい気持ちが一致して、苦しい治療を続ける患者さんもけっこう多い気がする。
患者さんが最後にどのようにすごすかを決める権利(と、もしかしたら義務)は、患者さん自身にあるはずだけど、患者さんは自分のことより家族や医療者の気持ちを思って最後まで苦しい治療を続ける、というのも切ない。
患者さんが緩和療法を選び、自宅に帰ることを望んだとしても、それを引き受ける覚悟と時間が家族側にあるか、という問題もあるし、地域にきちんとそれをケアできる医師や薬剤師がいるかというと、あまり多くないのが現状だろう。
本当に終末期の治療は難しいと思う。
でも、葵さんのような病院があれば本当に素晴らしいけど、正直言って現実感がなさすぎる。まだまだ未熟だけれど、一番患者さんに寄り添う可能性があるのは、やはり在宅治療の方だと思う。
実際、病院は急性期が終わると、その後の経過にほとんど関わることはない(私の経験では)次に関わるのは、また病状が悪化した時だけだ。
在宅を回ってますという医師でも、数をこなさないと経営に響くのか、私が経験した中では、一人一人の患者さんや家族の話をじっくり聞いて考えてくれるような医師はあまりいなかった。
ただ、在宅にはいろいろな職種が関与する。ナース、薬剤師、ヘルパーさん、ケアマネさん。時には民生委員さんやボランティアさんも。その中には患者さんと相性の良い人もいて、いろいろ話せる場合もある。まあ結局医師が話を聞いてくれなければ直接治療にはつながらないんだけど。寄り添うという意味では病院よりは可能性は大きい。
このドラマを見て思うのは、結局医療者の人間性が大きく物をいう場合もあるんだな、ということだ。
それは病気を身体的に治すには関係ないところだが、治療が思うようにいかなかった時、患者や家族を精神的に救うのに大きな役割を果たすことがある。
母が亡くなったとき、個人的にも経験したことあるが(それはナースだったが)特にお礼を言う機会もなく、病院を後にした。でもその時の救われた感じはいつまでも忘れず、感謝している。
でももしかしたら病院的にはテキパキしてない、効率の悪いダメな看護師さん、という評価なのかもしれないなあ(^◇^;)。
人間性が豊かだ、ということと感情的なのはまた全然違う!
動揺しやすいのもまた医療者失格なのだ。
私はといえば、薬剤師にあるまじきことに、難病の患者さんと話すとすぐ泣いてしまうし、技術は未熟だし、本当にダメだなーしろうとだなーと激しく落ち込みつつ奮闘している毎日なのだったσ^_^;
なんかまたとりとめがなくなってしまった(^◇^;)。
がん患者さんの在宅治療で有名な先生。
薬剤師の講習会で緩和療法の講演を聞くたびにひとり号泣してしまうしろうと丸出しの私(T_T)。
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