以前、救急センターの先生(医師)と話したことがある。
「救急なんてかっこいいですね。ドラマチックで!すごいですよね。」
と、ケーハクに私は言ったものだ。
すると先生はこう言った。
「救急はなんていうか、祭りみたいなもんなんだよね。今、生きるか死ぬか。
大変なように見えるけど、まあ大変なこともあるけど、その場で結果が出る。
その場限りで済むんだ。その場で白黒ついて終わり。次々に新しい患者が来る。
そういう意味では気が楽なんだ。」
つまり先生は、その場の病気についてのことしか考えなくていいから単純でいい、というようなことを言いたかったんだと思う。
そうして、かかりつけ医、総合診療医、ということがいわれ出した頃だったのでこうも言っていた。
「厚生省は簡単にいうけど、専門の科だけじゃなく、総合的に患者さんを診察できる医者をつくるっていうのは大変なことなんだ。実際にきちんとそんなことができる医者は本当に少ないと思う。それこそスーパードクターだと思うよ。派手ではないけど」
私は3話を見た時、急にその話を思い出したのだ。
病院薬剤師は確かに専門性が高くて、一般人ではわからないことをやっていてカッコいい(^O^)。
がん専門薬剤師、腎臓病薬物療法薬剤師、感染制御専門薬剤師、緩和薬物療法認定薬剤師‥
調剤薬局にもがん、腎臓病、いろいろな患者さんが来る。そういう知識があればもっと役に立てるのに、と思うことがある。
けど、こういった資格は街の薬剤師は取りにくいようにできている。講習会の開始時間が早いので出席できない、扱っている症例が少ないので受験資格がない、高い学会費を払わなければいけない。など。
興味があるからと言ってもあまり普段の仕事には関係ない知識。
これは趣味の域と言えるので、もちろん薬局からのサポートはないのだ。
私もなんだよこの制度!差別だ!と思ったことがあったけど、最近はまあそれでいい、と思うようになってきた(^○^)。
つまり、スペシャリストとジェネラリストの違い、ということなんだろう。
どちらもいないと困る。
街の薬剤師にはそれほどの専門知識はない。
だけどそれでいいのだ!
街の薬剤師は、満遍なくひととおりの薬のことは知っている。ドラッグストアだったら、その上、市販薬との飲み合わせ、成分の重複にも詳しい。健康食品や食生活についても併せてアドバイスできる。
患者さんと相性が合えば、それこそ処方箋がなくてもぶらりと立ちよっていろいろな相談をしてくれる。
葵さんは「薬剤師は薬を渡して終わりではない」
と言っているけれど、そういった意味で生活や性格を含めて患者さんをフォローし続けているのはだんぜん街の薬剤師だし、そこに誇りを持ってもいいんじゃないかな、と思う。
あんまり人に称賛は受けないけどね(^○^)。
それでドラマのドラッグストアの彼(名前忘れた)がやらなければならないのは、経験とリンクしない救急なんかじゃなく、市販薬や健康食品と医薬品の勉強、栄養学や運動療法のことなど、目の前の患者さんに役に立つ勉強だろう。やってみればかなり奥が深い。
彼はきっと、病院薬剤師になるんだろうけど、きっと今度はドラッグストアを内心バカにするんだろうなあ、と想像する(^O^)。
とりあえず、置かれた位置で咲こうとしなさい、と言いたい!(^○^)。