実はウチは今だに紙の薬歴だったのです。
それがついに、なななんと電子薬歴を導入!(遅いよ)
電子薬歴は他の薬局に勤めていたときは使っていたのだ。
「便利だった。書く手間がなくて楽だった。」
という印象が残っていたので、
「やっとウチの薬局も電子薬歴になった!」
と、どちらかといえば歓迎ムードだったのだ。
ところが!
あまりに紙薬歴に馴染みすぎたせいか、電子薬歴に馴染めない。
電子薬歴は確かに、過去との違いを見るとき、何か抽出するときなどは一瞬でわかるので便利なのだ。
しかし‥。
私が一番ストレスが溜まるのが、患者さんごとに書きたい項目が違うのに、全部統一しなければならないこと。書くことがなくても、欄を設けて「特になし」などと入力しないといけないこと(お役所仕事っぽい!)。今使っている薬以外の情報を書いておく場所がないこと。
なんだか「たとえ中身が薄くても形式さえ整っていればいい。」という感じで、逆にいうと
「形式が整っていなければ、内容が濃くても保健所が納得しない。」
ということなのだ。
紙薬歴は自由だ。
患者さんの生活歴、家族との関係、その変化、なども書いておける。
今ウチの薬局で処方している薬以外に併用している薬のことも合わせて追跡していける。
患者さんとの直接薬とは関わり合いのない会話もメモっておけるし、患部の図など言葉にしにくいことも描いておくこともできる。おしゃれの傾向とか(⌒▽⌒)。
今の薬のことだけではなく、患者さんの人間としての記録もすることができるのだ。
「論理的に、端的に」
という観点から見れば、
「余計なことは書くな」
というのはわかる。
けれど、患者さんはただ、うちで処方されている薬を使っているだけの十把一絡げのヒトではない。
こういう生活で、今こういうことで悩んでいて、こんな生活で、こんなことを楽しみにしている‥
というふうな情報は、直接受診の原因となった病気や薬とは関係ないかもしれないが、患者さんとの人間的な関係を作る上ではとても大切な情報だと思う。
そういうことをぜんぶ無駄な情報と切り捨て、ただ、今日の薬についての情報だけを書け、というのは、いかにも物足りない。
患者さんがいろいろな心情を話してくれるのは、薬のこと以外の情報がきっかけなことが多い。
でも、それは薬剤師の仕事ではない、薬剤師なんだから、自分のところで処方されたくすりについてだけ気にしていればいい、と言われればそのとおりかもしれない。
それだけやっているのではつまらない‥と強く思ってしまう。
オペレーターに入力の仕方を習っていると、入れたい項目が入れるところがないことに不便さを感じる。
「それはあまり薬と関係がないから入れない方がいいです」
「保健所の監査が入ると、指摘されますよ」
「記録はぜんぶ見られてしまいますから」
の連続で、なんだかうんざりしてしまった。
患者さんの人間性に触れてこそやりがいがある、と思ってしまう私はやっぱり薬剤師に向いていないのかもしれない。それとも細分化された現代社会に向いていないのか(T_T)。
‥でも、「モノから人へ」ってうるさいほど厚生労働省が言っているのに、なにか真逆に向かっているような気がする。薬歴の項目多すぎて、患者さんと話す時間がけずられる‥。ていうか、残業が多すぎ!キー。