皮膚科では、デュピクセントは難治性アトピー皮膚炎の注射薬として処方される。
はやりの生物学的製剤で、免疫抑制剤。過剰に増えた免疫細胞Th2が放出するIL4,IL13(かゆみをひどくし、皮膚バリア成分を低下させる)をブロック!という薬。
ウチの薬局でも何人かの患者さんに処方されている。
いずれも何年もステロイドやプロトピックの外用薬や、ネオーラルなどを服用していて、波はあったがなかなか良くならなかった患者さん。
初回は2本、その後は2週間ごとに1本注射する。
だいたい、最初の2回は医院で注射をして指導を受けるが、その後は自己注射が可能。
ウチの近隣の皮膚科さんでは1回でだいたい3ヶ月分が処方される。
メリットはやはり、効き目のよさだ。
何年も痒くて眠れない、と言っていた患者さんが
「かゆみが明らかに少なくなった」
「こんなに症状が軽くなったことは今までなかった」
と言うので、うれしかった。
まあ、こんなに高いんだから、少しは効いてくれないとねえ( ̄∇ ̄)。
そうなのだ!
デメリットの1つ目は、何といっても薬剤の値段の高さだ。
窓口で支払うお金は保険3割でも3ヶ月分で10数万円。
(ちなみに仕入れ値と薬価はぴったり同額、か消費税を入れると仕入れ値の方がやや高くなる場合もある。薬局も苦しい(T_T))
費用に関しては、後日払い戻しが受けられる高額療養費制度というのがある。
これは、収入によってひと月の支払額の上限が世帯ごとに決まっているという制度。
収入と年収、年齢によって上限額が変わってくるので、計算しなければわからないが、
ざっくり、69歳以下では年収370万〜770万までで一番多いのが、ひと月の支払上限4万4000円。
(それでも痛いけど、でも健康保険制度というのは本当にありがたいなあと思う。保険がなかったら治療を受けられるのは金持ちだけだろうなあと思う。
もし保険がなかったら、薬代だけでも年間120万円近くかかる。)
患者さんにとってコスパがいいのは、一回で3ヶ月分の処方を出してもらうこと。
窓口でそんなに支払えないという人は、前もって限度額適用認定証というのを発行してもらう、という手もある。ただし病院と薬局のお金は窓口では合算できないので、あとで自分で支払った分を全部足して、限度額を超えているか確認が必要。もし超えていれば、手続きすれば保険組合から返金される。
デメリットの2つ目は、止め時がわかっていないということ。
作用機序を考えると、注射をやめると元に戻ってしまうということが考えられるが、
ずっと使っていかなければならないのは、費用的には大変だ。
しかし、1ヶ月前に症状が軽減したからいったんやめる、という患者さんがいて、この間来局したけれど、まだ症状はおさまっているということだった。
自己注射に関しては、補助具などもあり、慣れれば問題なく注射できるようだ。
高齢者の患者さんも、その点は大丈夫とおっしゃっていた。
副作用に関しては、目が痒くなったという方が1名、抗アレルギー点眼薬が処方された。
副作用の項目のひとつに結膜炎が記載されている。
中止になった方が1名、頭痛がおさまらなかったということで、アトピーへの効き目自体はよかったので残念がられていた。
その他の副作用として、免疫力が下がることでヘルペスや各種感染症にかかるリスクは増えると考えられる。
(追記)2020年11月に、さりげなくデュピクセントのペン型も発売されていた。
くれぐれもよく剤形確認して仕入れすること!返品不可だって!((((;゚Д゚)))))))
(自分に言い聞かす)