抗菌性ペプチドがどんな菌にも効くわけ。

抗菌性ペプチドは


塩基性アミノ酸が多く含まれている=プラスに帯電している


②親水性アミノ酸と疎水性アミノ酸が半々くらいで含まれている



という特徴をもつ。



一方、菌とヒトそれぞれの細胞表面はどうなっているか。


グラム陰性菌では細胞膜の外にさらにリポ多糖でつくられた外膜がつくられている。
グラム陽性菌は、細胞膜の外にアミドグリカン層の厚い細胞壁がつくられている。
ヒトの細胞は、細胞の内側から細胞骨格で補強している。



造りは違うが、グラム陰性菌も陽性菌も、細菌の細胞表面はマイナスに帯電している。
一方、ヒトの細胞表面はほとんど帯電していない。


ここがミソ。
そのため、抗菌性ペプチドのプラス電荷が細菌のマイナス電荷に引かれてくっつく。
さらに、
細胞表面の脂質二重層の疎水基部分には疎水性面と、
親水基部分とは親水性面が相互作用して、結びつきが強くなる。

そうやって、膜表面にたくさん抗菌性ペプチドがくっつくと
表面がひずんできて、限界をこえると、横たわってたペプチドが膜の内側に落ち込むように、
垂直に立つ形になる。
一瞬だが、そのとき膜に孔があいたような形になり、細胞内の物質が流れ出してしまい、
結果、細菌は破壊されてしまうという。


つまり、抗菌性ペプチドが細菌を見分けるポイントは単純にマイナス電荷が多いか少ないか、
というところなのだー。


なんかよさそうな抗菌剤だが、これは血中投与すると毒性が強く出るため、塗り薬に適していると
考えられているそうだ。
もともと皮膚表面から分泌されるものだから、なんとなく納得(^^)。