「漢方薬だから副作用はないわよねえ。」

割とよく聞かれます。
いや、漢方薬の中には麻薬に似た成分や毒薬となる成分も含まれているものもあり、あなどれないと思う。


例えば長年肝臓病に効くとされていた小柴胡湯は、実はそれ自体が肝臓に障害を起こす作用があって
処方された患者さんが死亡している例が何件もある。
(重大な肝障害のある患者さんには投与禁止となったのは、やっと2000年になってから)


漢方にはそういう矛盾したような作用があって、芍薬甘草湯も筋肉痛やこむら返りに処方されるくせに、
副作用として筋肉痛や筋麻痺を起こしたりする(原因は低カリウム血症)ことがある。
病気が治っていないのか、薬のせいなのか、症状が同じだけに見分けにくい。( ̄ロ ̄lll)


特に何種類か漢方を飲んでいたり、錠剤でも漢方薬と同じ成分のものを飲んでいて、
知らないうちに重複して同じ成分を多量に採っているときは、副作用も気をつけた方がいいと思う。

代表的な物は甘草で、漢方薬の7割には含まれている。
何種類か飲んでいたり、主成分と同じグリチルリチンを飲んでいたりすると、副作用が起こりやすい。
甘草の副作用といえば、低カリウム血症から起こる、偽アルデステロン症が代表的だ。


血清カリウム減少 ⇒ 心室不整脈、筋麻痺

血清ナトリウム増加 ⇒ 高血圧、浮腫


自覚症状としては、むくみ、息苦しい、力が抜ける、食欲不振など。

下剤、利尿薬など併用しているとさらに注意が必要。
カリウムがさらに排泄されちゃうから。


<甘草の最小中毒量>
グリチロンの1日量は200mgまで。
芍薬甘草湯1日量中にはグリチルリチン300mgくらいまで。


しかし海外の研究(stormer1993)でグリチルリチンの最小有害作用量100mg/日、1日許容量10mg/日
とかいうデータもあるので、やはり甘草を含む薬剤を使う時は、偽アルデステロン症に注意が必要かもしれない。